屋根リフォームの種類と費用の目安について解説
屋根リフォームの種類
屋根リフォームと一言に言っても、工事を行う範囲や場所、屋根の状況などによってやるべき工事が異なります。工事内容によって費用も変わるため、最適な方法を選択することが大切です。
屋根のリフォーム工事は、屋根全体をリフォームする工事と屋根の一部分を修理する工事に大別されます。
屋根全体のリフォームには「屋根塗装」「屋根葺き替え工事」「屋根カバー工法」の3種類があり、屋根の状況などに合わせて最適な工事を選択します。
屋根の部分修理で代表的な工事は「屋根材の部分補修」「瓦の漆喰交換」「棟板金の交換」「雨樋の修理・交換」の4つが挙げられます。
一覧表は下図の通り。それぞれについては以下より詳しく解説していきます。
屋根塗装
屋根塗装工事はその名の通り屋根材に新しい塗料を重ねて塗装する工事のことです。塗装を行うことで屋根材を保護して寿命を伸ばすことができるほか、家の見た目を良くするなど外観向上のメリットもあります。
屋根材そのものには手を付けないため、すでに劣化した屋根のダメージを回復するというよりは屋根材の寿命を長持ちさせるための予防策のような意味合いが強い場合は屋根塗装工事を行います。
費用については、使用する塗料や屋根の広さなど様々な要素で変動しますが、一般的な住宅(30坪)であれば約40万円前後ほど。
このうち足場代など工事にかかる費用が20万円近くかかります。使用する塗料によって価格は大きく変わるため、塗装費が価格を大きく変動させる要素になります。コスパが良く人気のシリコン塗料であれば、一般的な住宅で約20万円前後の塗装費になるでしょう。
屋根塗装に用いられる塗料を以下にまとめました。安価な塗料にすれば塗装費用は抑えられますが、その分耐久性も低く劣化が早くなり、回数がかさんで結果的に費用が高くなってしまうということもあり得ます。その点を考慮して使用する塗料を決めましょう。
屋根カバー工法・屋根葺き替え工事
屋根材に全体的な劣化やダメージがあり、新しい屋根を設置する必要がある場合は屋根カバー工法もしくは屋根葺き替え工事のいずれかの方法で屋根リフォームを行うことになります。屋根葺き替え工事と屋根カバー工法の大きな違いは既存の屋根の取り扱いです。
屋根カバー工法では既存の屋根材の上に新しい屋根材を被せるように設置します。既存の屋根材を撤去しない分、工事費用のコストダウンが可能であるため、屋根葺き替え工事よりも安価で施工が可能なのが魅力です。ただし、屋根の下にある下地材の劣化が著しい場合や瓦屋根の場合は施工が不可能という条件が付きます。
屋根の大きさや形状、劣化の状況や施工業者などさまざまな要因により値段は変動しますが、一般的な住宅であればだいたい100万円前後が相場となります。
対して屋根葺き替え工事は既存の屋根を撤去して新しい屋根材を設置します。この工事では屋根を撤去するため屋根の下にある下地材を含めたメンテナンスも可能で、既存の屋根が抱えていた問題がすべて解消される点が魅力です。
ただし、既存屋根の撤去作業の分、工事にかかる費用は屋根カバー工法よりも高くなります。相場としては一般的な住宅で約200万円前後です。屋根カバー工法の約2倍ほどの価格となりますね。
屋根カバー工法と屋根葺き替え工事の比較については他のコラムで詳しく解説していますので、ぜひこちらの記事もご確認ください。
屋根材の部分補修
たとえば台風による飛来物が屋根に直撃するなど、何らかの理由で屋根材の一部のみが破損・劣化するパターンもあります。その場合は屋根全体を修理せずとも該当部分のみの修理で対処が可能です。
破損部分のみの対応になるので当然ですが屋根全体を工事するよりは経済的な値段に収まります。使用する屋根材や範囲の広さ、修繕内容などにもよりますが、おおよそ1畳分で2〜4万円程度になるでしょう。ただし、高所で足場を組む必要がある場合は足場代が約20万かかる点に注意です。
瓦の漆喰交換
漆喰とは水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とした建材で、瓦など石材の接着剤の役目を果たします。あなたの住宅の屋根が瓦屋根であった場合、瓦どうしの隙間などを埋めているのはこの漆喰です。
瓦は非常に耐用年数が長いのですが、漆喰は瓦ほどの耐久性はなく、瓦は大丈夫でも漆喰部分が劣化しているということがあります。この場合は劣化した漆喰を取り除き、新しく漆喰を詰め直す工事を行います。
業者や工事内容により変動がありますが、費用はおおよそ10〜30万円ほどになります。劣化したり剥がれた漆喰を放置しておくとそこから水が侵入し雨漏りや腐食の原因になりますので放置せずメンテナンスしましょう。ちなみに、金属屋根・スレート屋根の場合はこの工事は不要です。
棟板金の交換
屋根にはいくつかの面がありますが、その面どうしの接合部分を「棟」といいます。スレート屋根や金属屋根の場合、この部分に雨漏りを防ぐためのフタの役割をする板金「棟板金」を設置します。
棟板金は屋根の中でも風雨の影響を受けやすく不具合が起こることが多いため、棟板金のみが他の部分より劣化やダメージが進んでいる場合は、棟板金とその下にある下地を交換する工事を行うことがあります。
費用としては規模にもよりますが、足場代も含めて20〜30万円前後になるでしょう。棟板金交換工事の費用は足場代が大部分を占めるパターンも少なくないため、屋根全体のリフォームと合わせた方がお得になることもあります。
雨樋の修理・交換
屋根から流れてきた雨水を受け止める雨樋もメンテナンスが必要です。経年劣化のほか、落ち葉やゴミ、強風による飛来物などで詰まったり破損することがあるため、詰まりの掃除や金具や破損部分などパーツの交換、塗料の塗り替えなどのメンテナンスが必要です。
詰まりの掃除やパーツの交換であれば3〜5万円程度、全交換の場合は10万円ほどになるでしょう。ただし、高所作業になる場合は足場代が約20万円ほど上乗せされます。
屋根全体のリフォームか部分的な修理か判断することが重要
屋根リフォームを検討する際には、屋根全体のリフォームが必要なのか、部分的な修理で十分なのかを判断することが重要です。
必要でないリフォームまでやってしまうとお金の無駄ですし、逆に必要な工事をやらないままだと劣化が進み、のちのち更に大規模な工事が必要となる事態に陥る可能性もあります。
屋根リフォームは決して安い工事ではないので、必要ない費用は削るべきです。しかし、長く今の住宅に住み続けるために必要な工事はしっかりやるべきでしょう。
予算との兼ね合いも考えなければなりません。ある程度年数が経っている場合は、部分的な問題が表面化していても屋根全体のリフォームと合わせてやってもらうほうがお得に済むパターンもあります。
その判断ができるようになるためにも、屋根リフォームを検討する際には事前に工事の種類や費用感を頭に入れておきましょう。