外壁塗装・外壁張り替え・外壁カバー工法の違いを比較解説
外壁リフォームの選択肢は外壁の「塗装」「張り替え」「カバー工法」の3つ
外壁リフォームを検討する際、真っ先に思い浮かぶのは外壁塗装ですが、実は選択肢としては外壁塗装の他に外壁の張り替え、外壁カバー工法の合計3つの選択肢があります。
本記事では外壁塗装・外壁張り替え・外壁カバー工法それぞれの違いや特徴を比較し、自身の住宅における最適な工事がどれか分かるような考え方を解説していきます。まずはそれぞれどのような工事か把握しておきましょう。
外壁塗装は塗装を行うことで塗膜による防水性能を高める工事です。外壁の劣化度合いが比較的軽い場合は塗装のみでメンテナンスを行います。
劣化が進み、割れたり腐食が出たりするレベルになると外壁そのものに対策を行う必要があり、その場合に取れる選択肢が既存の外壁を撤去して新規の外壁を張り替える外壁張り替え工事と既存の外壁を撤去せず上から新規の外壁を被せるように貼り付ける外壁カバー工法の2つとなります。
外壁塗装の特徴と費用や耐用年数
塗料によって既存の外壁の防水性能を回復させる外壁塗装工事は、新規の外壁を用意せず塗料を使用するため、前述した3つの工事の中でもっともリーズナブルな価格で工事が可能です。
塗料によるメンテナンスなので外壁そのものに塗膜でカバーできない劣化がある場合は対応できません。基本的には塗料の劣化や軽度の劣化症状の場合に外壁塗装で対応します。
現在の住宅で使用されている外壁材は主に窯業系サイディング・モルタル外壁・金属サイディングの3種類ですが、窯業系サイディングであればサイディングの反り、モルタル外壁であれば軽度のクラック(亀裂やひび割れ)、金属サイディングであれば軽度の錆くらいであれば塗装のみもしくは補修作業の後に塗装を行うことで対応できるでしょう。
外壁の耐用年数は30年前後といわれていますが、塗料の耐用年数は塗料の性能によりますがおおよそ10年〜20年前後です。後述する外壁張り替えや外壁カバー工法よりは耐用年数は短くなります。費用は塗料により変動しますが60〜80万円前後とこちらも3つの工事の中では最もリーズナブルになります。
外壁張り替えの特徴と費用や耐用年数
外壁張り替え工事は既存の外壁を取り除くため、内部にある防水紙などにもメンテナンスの手をいれることが可能です。
内部含め外壁すべての劣化箇所を新しいものにすることができるため、基本的には新築同様となり不安点が一掃されるのが魅力でしょう。耐用年数も新築の外壁と変わらない30年前後になります。
また、今までと違う色合いやデザインのものを選ぶことで住宅のイメージチェンジも可能ですし、既存外壁より軽い素材を採用すれば耐震性の向上も見込めます。
デメリットとしては、撤去工事が含まれてしまう分工事費用が高くなってしまう点と、モルタルやコンクリートの外壁は構造上張り替えというより作り直しになるため張り替えが難しい点です。費用は外壁の素材により上下しますが、おおよそ180〜250万円前後くらいになります。
外壁カバー工法の特徴と費用や耐用年数
外壁カバー工法は外壁張り替えと異なり、既存の外壁を撤去は行いません。それにより撤去費用や廃材処理費用がほとんど発生しなくなるため、費用面では外壁張り替え工事より安価になります。住宅にもよりますが、おおよそ費用としては150〜200万円前後になります。
既存外壁は残っていますが上に被せる外壁自体は新しいものなので、耐用年数も外壁張り替え工事と変わりません。さらに、外壁が既存のものと新規のもので二重になるため、断熱性と遮音性が高まるメリットもあります。
張り替え工事より費用が抑えられて同等の耐用年数が得られるというパフォーマンスの高い工事ですが、使用できる外壁材がほぼ金属サイディングになってしまう点や外壁の状況によっては施工が難しい場合がある点は注意が必要です。
最適な外壁リフォーム工事の選び方
これまで解説した3つの工事方法の中で、自身の住宅でどの外壁リフォーム工事が最適なのか考える際にチェックすべきポイントがいくつかあります。
まずは塗装が劣化しているか確認するために外壁に「チョーキング現象」が発生しているかどうか確認しましょう。チョーキング現象とは外壁を触った時に白い粉が付着する現象のことを指します。外壁の塗装が熱や紫外線、風雨などで劣化することで塗料成分の分解が進み、やがて成分のひとつである顔料が表出してしまうのです。
この現象は壁に触れば確認できるため、外壁が防水機能を失ってきているという素人でも分かりやすいサイン。チョーキング現象が起きていれば外壁リフォームを検討するサインです。
次に劣化状況を確認しましょう。塗膜や小規模な補修作業で対応できるくらい軽度の劣化は塗装で十分賄える可能性が高いので業者に外壁塗装の相談をしてみましょう。それぞれの外壁材で外壁塗装で対応できそうな劣化症状の例は以下の通り。
- 窯業系サイディング:サイディングに反りが見られる
- モルタル外壁:クラックをある程度確認できる
- 金属サイディング:錆取りで対応できるレベルの錆が発生している
塗装で対応できなさそうな重度の劣化症状が見られた場合は、外壁張り替えもしくは外壁カバー工法でのリフォームを検討すべきでしょう。
- 窯業系サイディング:目地や継ぎ目の隙間発生や外壁の一部が崩壊、腐蝕している
- モルタル外壁:無数のクラックが確認できる、外壁の一部が崩壊している
- 金属サイディング:重度の錆の発生や外壁の一部が崩壊したり穴が開いている
状態によっては外壁カバー工法ができない場合があります。また、モルタル外壁に関しては外壁が崩壊してると撤去の後作り直しになる可能性が高いです。
最終的には業者と相談してどの工事を行うか決めることになりますが、事前にある程度状況を把握しておくことでどの工事になりそうか、費用はどれくらいになりそうかを予測できますし、業者とのやり取りもスムーズになります。
外壁リフォームを検討中の方は、ぜひ本記事を参考にして今の住宅に必要な工事はなにか検討するための参考にしてみて下さい。